トラベラーズノート

メンテナンス

トラベラーズノートのメンテナンス方法

 トラベラーズノートを購入したまま放ったらかしにしていないだろうか?

 シワや傷など経年変化を楽しむノートではあるが、ひび割れたり、乾燥して柔軟性がなくなったりすると元も子もない。それを防ぐには、適切なメンテナンスを行い保革クリームを塗ることが大切である。メンテナンスをすれば、よりいっそう愛着もわき、長く使えるノートに育つのだ。

 ここでは、元革靴職人の管理人が10分でできるトラベラーズノートのメンテナンス方法をご紹介する。靴やかばんなど他の革製品にも応用できるので、ぜひ試してほしい。

目次

トラベラーズノートにはメンテナンスが欠かせない

 トラベラーズノートは風合いの良い革にゴムバンドでノートを挟んだだけのシンプルなものだ。高品質のリフィルも魅力のひとつだが、その真髄はやはり革カバーにあるのではないだろうか。革カバーを美しく保ち、いつまでも愛用するには適切なメンテナンスが欠かせないのである。これは全ての革製品に共通して言えることだろう。

味があるのと、汚れてくたびれた状態は違う

 トラベラーズノートは頑丈で、ラフに扱えるノートだ。カバンの中に無造作に放り込んでおける。少々の傷やシミはノートを使い込んだ証であり、愛用するほど世界にひとつしかないオリジナルノートへと育つ。

 ただし、いくら経年変化を楽しむノートでも、風合いが増すのと、汚れてくたびれただけの状態は違う。傷では済まず、ひび割れたり柔軟性がなくなったりすると元も子もない。使い込んで”味”があるのと、たんに”汚れただけ”の状態は違うと心得よう。

トラベラーズノートの素材を知ろう

トラベラーズノート
同じ革製品でも使われている素材はそれぞれに違う。

 革製品の適切なメンテナンスは素材を知るところから始まる。トラベラーズノートは『オイルレザー』を使用しており、それに適したクリームは『ミンクオイル』である。

 トラベラーズノートのカバーには、タイ北部のチェンマイで加工された牛革が採用されている。それもコストのかかる『植物タンニンなめし』で作られた革だ。その特徴は、頑丈であり、経年変化を楽しめること。その頑丈さから革靴の底に使われることが多い革である。

 さらにトラベラーズノートの革は、なめし工程でオイルをたっぷりと含ませたオイルレザーであり、表面に艶出しや塗装など特別な加工を施していない。素材そのものの風合いを楽しめる革である。

革の栄養と素材に適したクリーム

 さて、トラベラーズノートに限らず、革製品のメンテナンスの基本は栄養分を与えることだが、具体的に”栄養分”とは何を指すのだろうか。

 その答えは『水と油』である。

 水が含まれることを意外に感じる人もいるかもしれないが、要するに人のお肌と同じように考えればよい。革もお肌も乾燥すると割れる。それを防ぐには、適切に水分と油分を与えてやればいいのだ。

 そのための保革クリームも水と油でできている。ただし、水と油はそのままだと混ざらないため、乳化剤を加えて水と油を混ぜたのが、靴用品店などに並ぶ『保革クリーム(乳化性クリーム)』である。

 オイルレザーにはオイルがたっぷりと含れている。それに適した保革クリームは、油分の多いミンクオイル、ということだ。

基本のメンテナンス方法

 トラベラーズノートの革カバーはオイルレザーということを踏まえて、基本のメンテナンス方法を解説したい。まずは簡単な道具をそろえよう。

基本メンテナンスに用意するもの

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  • ミンクオイル
  • ウエス
  • 馬毛の靴用ブラシ(もしあれば)

メンテナンスの手順

 道具を用意したら、メンテナンスは以下の手順で進めよう。ポイントはミンクオイルの塗り方にある。

  1. 表面のほこりを落とす
  2. ミンクオイルの塗布
  3. 乾拭き
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作業前に、中身のリフィルやゴムバンドなど、外せるものは外しておこう。作業性が向上する。

 まずはホコリや汚れを払う。靴ブラシがあればベストだが、なければ簡単に手で払えばよい。ある程度きれいになったところでミンクオイルを塗っていこう。ポイントは『指で塗る』ことだ。

ミンクオイルは指で塗ろう

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ミンクオイルは少量をよく伸ばそう。多すぎるオイルは、かえって汚れの原因になる。

 ミンクオイルは油分が主な成分で、少し固めのクリームだ。そのままだと伸びが悪くて塗りにくい。

 そこで、試しに指で塗布してみよう。指で塗ることで、体温によりミンクオイルが柔らかくなり塗りやすくなる。柔らかくなったミンクオイルは革にもよく浸透するのだ。

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 全体にまんべんなく塗り込んだら、ウエスでよく乾拭きをしよう。余分なクリームは汚れの原因になるからだ。ちなみに、この乾拭きの行程が靴磨きでいう”磨き”にあたる。

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 乾拭きを終えたら、どうだろう……? 革カバーがしっとりと潤い、自然な光沢を放っているはずだ。ほんの少しの傷なら、ミンクオイルを塗ることで目立たなくなってしまう。これで基本の手入れは完了である。

 磨き終えたら、しっとりと潤ったトラベラーズノートを眺めながら悦にひたろう。磨き終えた革製品で1杯飲めるようになったら、あなたも上級者(?)の仲間入りである。

汚れを落とす・色を補修する応用メンテナンス方法

 普段はミンクオイルでの基本メンテナンスで十分だが、汚れや色落ちが気になることもあるだろう。そんなときは『クリーナー』と『乳化性クリーム』を用意し、汚れ落としや色補修をしてみよう。

汚れ落としに用意するもの

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  • 革用クリーナー
  • ウエス
  • 馬毛の靴用ブラシ(もしあれば)

クリーナーでの汚れの落とし方

  1. 表面のほこりを落とす
  2. クリーナーをウエスにとり、汚れを落とす
  3. ミンクオイルの塗布
  4. 乾拭き

 まず表面のホコリを落とそう。クリーナーをウエスに少量とり、革カバー全体を拭き取っていく。

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クリーナーを少量ウエスに含ませ、全体を拭き取っていく。

 汚れや古いワックス成分を落としたら、再びミンクオイルで栄養を補給し、完了だ。

補修に用意するもの

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色落ちを補修する場合は、色付きの乳化性クリームを用意しよう。
  • 乳化性クリーム
  • ウエス
  • 馬毛の靴用ブラシ(もしあれば)

 管理人は黒を選んだが、トラベラーズノートには茶・キャメル・ブルーも展開されている。もし色落ちが気になったら、靴磨き用の乳化性クリームで補修しよう。

色補修のやり方

  1. 表面のホコリを落とす
  2. クリーナーで汚れを落とす
  3. 乳化性クリームの塗布
  4. 乾拭き

 表面のホコリを落とし、クリーナーで汚れと古いワックス成分を落とそう。

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ウエスにクリームを少量とり、全体に伸ばしながら磨いていく。

 乳化性クリームをウエスに少量とり、全体に塗布する。最後に余分なクリームを拭き取って完了だ。

補修の注意点

 乳化性クリームで色補修をする場合、以下の点に気をつけよう。

  • 瓶入りの乳化性クリームを用意する
  • 厚化粧に注意する
  • 色移りに注意する

 いわゆる靴クリームといえば、よく家庭にあるのが『液体クリーム』である。容器の先にスポンジがついており、手早くメンテンスができる。ただし、これはトラベラーズノートには使ってはいけない。

 液体クリームで簡単に光沢を出せるのは『硬いワックス成分』による効果だ。オイルを含んだ柔らかい革とは相性の悪いクリームで、液体クリームはヒビ割れの原因になりかねない。

 実際に管理人が靴業界で働いていたときに、液体クリームの厚塗りによるひび割れの相談を何十件も受けた。

 乳化性クリームであっても、塗り過ぎには気をつけたい。乳化性クリームには艶を出すための『ろう(ワックス)』が含まれている。塗り重ねるとワックスの層がだんだん分厚くなり、やがて割れてしまう。厚化粧の状態だ。

 これではよかれと思ったメンテンスが、かえって逆効果になってしまう。それを防ぐには、乳化性クリームを塗布する前に、クリーナーで古いワックスを落とすとよい。

 もうひとつ気をつけたいのが、よく乾拭きすることである。色付きクリームには染料が含まれており、これが表面に残っていると服やカバンなどに色移りしてしまう。靴クリームでついた色汚れはなかなか落ちないのでやっかいだ。心配な人は、無色のミンクオイルの使用のみに留めておこう。

リペアキットも用意しておきたい

トラベラーズノート

 トラベラーズノートも長く使っているとゴムバンドが傷んでくる。その場合はリペアキットを活用しよう。ゴムバンド、しおりひものセットで8色が用意され、もちろんカスタマイズにも使える。

メンテナンスの頻度について

 トラベラーズノートのメンテナンス方法は分かったが、悩ましいのが”どのぐらいの頻度でメンテナンスすべきか”ということだ。

 ありていに言えば、革製品のメンテナンスは◯週間に1回、のような厳密な定義は存在しない。それでも目安を示すなら『2週間〜ひと月に1度』で十分である。

2週間〜ひと月に1回でOK

 トラベラーズノートについては、メンテナンスにそこまで神経質になる必要はない。頑丈な革カバーはラフに使えることが魅力であり、経年変化で味わいを増すノートだからだ。

 例えば唇が乾燥したらリップクリームを塗るように、革カバーが乾燥したり、艶がなくなったりしたらオイルを塗る。これで十分である。

トラベラーズノートにおすすめのメンテナンス用品

COLUMBUS(コロンブス)ミンクオイル

 日本のシューケア用品を代表する会社『コロンブス』から発売される定番のミンクオイルだ。オイルレザーとの相性がよく、ワークブーツやアウトドア用品、野球のグローブなどにも使える。トラベラーズノートの愛用者なら用意しておこう。

M.MOWBRAY(エム・モウブレイ)デリケートクリーム

 エム・モウブレイは欧州のシューケア用品トップブランドである。デリケートクリームは、は虫類などの特殊な革をのぞき、ほとんどの革製品に使用できる万能クリームである。

 トラベラーズノートにはミンクオイルがベストだが、ミンクオイルの使用はオイルレザーに限定される。靴やカバンなど、他の革製品に広く使いたい場合はデリケートクリームがおすすめである。

M.MOWBRAY(エム・モウブレイ)ステインリムーバー

 同じくエム・モウブレイが発売する万能水性クーリーナーである。『革に水分なんて大丈夫か?』と思うかもしれないが、記事中で述べたように、革に水分は必要なので安心して使ってほしい。

 なかなか強力な汚れ落とし効果で、革の状態をきれいさっぱりリセットできる。ただし、色や栄養分までしっかり落としてしまうので、使用後には必ず保革クリームを塗ろう。

BootBlack(ブートブラック)BBクリーム

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 コロンブスが販売する靴クリームの中でも高品質なシリーズである。通常シリーズに比べ、革の風合いを損なわずしっとりと仕上がる印象だ。色落ちを補色したい場合は、こちらのクリームをおすすめしたい。

トラベラーズノートリペアキット8色

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 トラベラーズノートのメンテナンスに使う、ゴムバンドとしおりひものセットだ。くたびれたバンドはこれで交換しよう。

まとめ 

 トラベラーズノートの魅力のひとつは革カバーであり、革カバーこそがトラベラーズノートをトラベラーズノートたらしめるものだ。革製品には定期的なメンテナンスが必要であり、トラベラーズノートにはミンクオイルを適切に塗ろう。

  • ホコリを落とし、ミンクオイルを塗布する
  • 頻度は2週間〜ひと月に1回でOK

 これでトラベラーズノートはますます輝きを増し、世界にひとつだけのオリジナルノートへと育つのである。

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