日本のデザイン文具メーカーが手がけ、世界でファンを獲得しているノートがある。トラベラーズノート——。
当サイトではトラベラーズノートの使い方や魅力に迫るが、まずはその概要を押さえておこう。トラベラーズノートとは、どのようなノートなのだろうか。
このページでは、トラベラーズノートのサイズや種類も含め、その魅力をご紹介したい。
目次
トラベラーズノートとは

トラベラーズノートとは、2006年に株式会社デザインフィル(旧:株式会社ミドリ)から”手にとって旅に出たくなるノート”をコンセプトに開発されたノートのことだ。
2005年の『国際文具・紙製品展 (ISOT)』でA5スリムサイズノートのコンペが開かれ、ユーザー投票で2位を獲得した。その翌年3月に発売に至ったのだ。
トラベラーズノートはラフな風合いの牛革カバーが特徴で、そこにリフィルを挟むシンプルなノートである。リフィルをゴムバンドで固定するという、他に類を見ないシステムだ。

装飾のない、切りっぱなしの革カバーは、良く言えば革そのものの質感を感じられるノート。悪く言えば素っ気ない。
そのシンプルさだからこそ、ユーザーが手を加えてオリジナルのノートに仕上げる自由度が高い。新品の状態では完成していない——もちろんそのまま使ってもいい——、カスタマイズの”余白”が残されたノートだ。
数種類のリフィルやカスタムパーツが販売され、その組み合わせ方はユーザー次第である。シンプルなノートをアート作品のように仕上げることもできるのだ。トラベラーズノートの使い方については『トラベラーズノートの代表的な使い方5選』を参考にしてほしい。
さて、中身を入れ替えるノートといえばシステム手帳が思い浮かぶ。トラベラーズノートとシステム手帳は何が違うのだろうか。
システム手帳とはどう違う?
トラベラーズノート | システム手帳 | |
---|---|---|
本体 | ノートカバー | バインダー |
リフィル | 綴じたノート | バラの用紙 |
セット方法 | ゴムで挟む | バインダーで挟む |
システム手帳はご存知のとおりリフィルを自由に入れ替えられ、持ち歩く情報を選べる。この点はトラベラーズノートも大差はない。大きな違いはリフィルとカバーにある。
システム手帳のリフィルは綴じられていないバラ用紙であり、これをバインダーにセットして使う。リフィルが綴じられていないからこそ、必要な情報だけを持ち歩ける。
対してトラベラーズノートのリフィルは綴じられたノートであり、本体はバインダーではなくノートカバーだ。
システム手帳と似ているようで、実際には、”情報を持ち歩くためのバインダー”と”革カバーをまとったノート”という、明確な違いがあるのである。
トラベラーズノートのスターターキット

トラベラーズノートにはスターターキットが用意され、カスタマイズはこれを購入することから始まる。スターターキットには、革カバーと無罫ノート、コットンケース、スペアバンドが付属している。これを基本に、必要とするリフィルやカスタムパーツをそろえていこう。
トラベラーズノートのサイズと種類
トラベラーズノートのサイズは2種類が用意され、レギュラーサイズとパスポートサイズがある。管理人はレギュラーサイズを選んだが、どちらを選ぶか悩ましいところだ。用途に応じて選びたい。
レギュラーサイズ
レギュラーサイズは、一般的なA5サイズの幅を少し狭くした、A5スリムサイズのノートだ。携帯に大きすぎることはなく、手になじみ持ちやすい。ノートの面積が広くたっぷりと書き込めるうえに、マップやチケット、A4サイズの用紙を、三つ折りにして挟み込める。
- カバー本体:H220×W120×D10mm
- ノートリフィル:H210×W110×D4mm
- コットンケース:H240×W140mm
パスポートサイズ
パスポートサイズはポケットに収まるコンパクトなノートだ。リフィルがパスポートと同サイズのため、パスポートカバーとしても使える。いつでも持ち歩いてアイデアや日常を記録したり、カスタムパーツで財布やカードケース代わりにしたり、コンパクトなサイズを活かした使い道を考えよう。
- カバー本体:H134×W98×D10mm
- ノートリフィル:H124×W89×D4mm
- コットンケース:H165×W120mm
トラベラーズノートの特長と魅力
自由にカスタマイズできる

トラベラーズノートは日本のみならず海外にも愛用者がいるノートで、リフィルやカスタムパーツが豊富に販売されている。シンプルな革カバーとノートの組み合わせはユーザーが手を加えやすい。WEBサイトやSNSを検索すれば、ファンのカスタマイズ情報がたくさんヒットし、さながらアート作品のようなトラベラーズノートにもお目にかかれる。
旅先で見つけたチャームを組み込んだり、オリジナルステッカーを貼ったりして、自分だけのノートに育てる楽しみがあるのだ。トラベラーズノートのカスタムについては『トラベラーズノートのカスタマイズに用意したいリフィル & アイテム【本体+10選】』を参考に。
風合いの良い革カバー
独特の風合いを持つカバーにも注目したい。カバーにはタイ北部のチェンマイで生産された牛革が採用された。手間のかかる植物タンニンなめしで生産され、その工程でオイルをたっぷりと含ませたオイルレザーである。
オイルレザーは、主に野球のグローブやワークブーツ、アウトドア用品など、タフに使われる製品に採用される。油分が多いから多少ぬれても心配いらない。

宝石のような美しい革、例えば子牛の高級革も魅力的だ。だがそのような革は非常に繊細であり、扱いが難しい。
その点、トラベラーズノートの革カバーは、多少の雨や傷、汚れなどを気にせず使えるタフさがある。ラフに使って経年変化を楽しめる——。この革カバーこそが、トラベラーズノートをトラベラーズノートたらしめるのである。メンテナンスの詳細は『トラベラーズノートのメンテナンス方法』を参考に。
高品質のMD用紙を採用
トラベラーズノートのリフィルは、株式会社デザインフィル(旧:株式会社ミドリ)が1960年代から自社で開発・生産を行う『MD用紙』を採用している。
MD用紙は品質の良い原材料とコンディションのよい水から生まれ、日本国内で生産されている。できあがった用紙は、厚さ、重さ、紙の色など厳しい検査を受け、もっとも時間をかけてチェックされるのが筆記性である。
ペンの引っかかり具合やインクの裏抜けなど、細部にわたるチェック項目を、全てクリアした用紙だけが我々の手元に届く。万年筆や鉛筆、ボールペンなどあらゆる筆記具に最適な用紙を、トラベラーズノートは採用しているのだ。
書きにくい?トラベラーズノートのデメリット

トラベラーズノートにも多少のデメリットは存在する。それはデスクの上で少々書きにくいことだ。決して紙の品質のことを述べているのではない。トラベラーズノートの特徴であるゴムバンドやカスタムパーツが凸凹して、ペン先が取られることがあるのだ。
とはいえ、カスタマイズはトラベラーズノートの魅力である。デスク上で完全にフラットに開かないデメリットを補って、余りあるメリットが存在する。
トラベラーズノートにとっては、自由に手を加えられて、旅先や日常でどこでも携帯できることが大切なのである。
まとめ
トラベラーズノートは、株式会社デザインフィルが手がけたノートだ。革カバーとリフィルからなるシンプルなノートは、日本のみならず世界に愛用者を獲得した。カスタムの自由度の高さや風合いの良い革カバーには他にはない魅力があり、唯一無二のものである。
トラベラーズノートが気になった人は、ぜひチェックしてみてほしい。